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2023.11.13骨粗しょう症について
こんにちは! 暑かった夏もようやく終わり、朝晩も涼しくなりました。
夏の間は涼しい場所で身体をあまり動かさ ずに過ごしていた方も多いのではないでしょうか。
松尾歯科では、血圧、血糖値、アレルギーなど様々な疾患をお持ちの方の治療も行っておりま す。
お口の中と身体の病気は別物と思われがちですが、服用している薬が歯科治療に影響を与 えることもあるため注意が必要です。
今回は、その中でも「骨粗しょう症」の薬についてお話しします。
●骨粗しょう症とは 骨の強度が低下してもろくなり、骨折しやすくなる病気を「骨粗しょう症」と言います。骨折というと 強い力でポキッと骨が折れる状態をイメージなさる方が多いかもしれませんが、骨粗しょう症の場合は転倒やくしゃみなどのわずかな衝撃でも骨折しやすくなります。骨粗しょう症は、原因によって 大きく3種類に分けられます。
1 原発性骨粗しょう症
加齢や生活習慣の乱れが原因となる骨粗しょう症です。骨を構成しているミネラル成分の密度 (骨密度)は20~30歳頃がピークで、その後は加齢とともに徐々に減少していきます。そのため、 50~60歳頃になると骨粗しょう症を発症する人が多くなる傾向にあります。また、更年期以降の 女性はエストロゲンをはじめとする女性ホルモンの分泌が低下し、骨からカルシウムが溶け出すのを抑制する働きが弱くなります。そのため、骨量が減って骨がもろくなりやすくなります。
2 続発性骨粗しょう症
骨を弱くする疾患や、薬の副作用が原因となる骨粗しょう症です。糖尿病などの生活習慣病、関節リウマチのほか、副甲状腺機能亢進症やバセドウ病などの内分泌系の疾患が原因として挙げられます。また、ステロイドの長期服用なども骨粗しょう症の原因となります。
3 特発性骨粗しょう症
上記の2つに当てはまらない骨粗しょう症です。
妊娠性骨粗しょう症などが例として挙げられます。
●骨粗しょう症の予防
骨粗しょう症の予防には、バランスのよい食事と適度な運動が最も大切です。骨と聞いてイメージ するカルシウムだけでなく、ビタミンやマグネシウム、リン、タンパク質など様々な栄養素を満遍なく摂取するようにしましょう。喫煙や過度な飲酒も控えめにすることが望ましいです。運動する際は 転倒に注意し、適度な日光浴も兼ねながら行うと良いでしょう。
●骨粗しょう症の治療
骨粗しょう症の治療は、薬物療法が中心となります。治療薬は大きく分けて3種類あります。
1、骨を壊す働きを抑える薬
破骨細胞が骨を壊す働きを抑え、骨が作られる働きとのバランスを保ちます。この種類の治療薬 にはビスホスホネート、デノスマブ、SERM(サーム)があります。
2、骨が作られるのを促す薬
骨芽細胞が骨を作りだす働きを促進し、骨が破壊される働きとのバランスを保ちます。この種類の治療薬には、副甲状腺ホルモン薬があります。
・骨が壊れ、作られるバランスを整える薬
破骨細胞の活動を抑えて骨が壊される働きを抑制し、小腸からカルシウムを吸収して骨が作られる働きを促進します。この種類の治療薬には、活性型ビタミンD3薬があります。
●骨粗しょう症の治療薬と歯科治療の関係
骨粗しょう症の治療に使用されるビスホスホネートやデノスマブは、ごくまれに顎骨壊死の原因となるため、歯科治療においては慎重な対応が必要です。顎骨壊死とは顎の骨の組織や細胞が局 所的に壊死してしまう疾患で、お口の中に生息する細菌に感染することで生じます。
主な症状とし ては、歯ぐきの痛みや腫れ、排膿、歯の脱落などが挙げられます。
ビスホスホネートやデノスマブといった薬剤は全身の骨に分布するにもかかわらず、なぜ顎骨の みに壊死が起こるのでしょうか。すべての原因は明らかにされていませんが、お口の中には常に 400種類以上の細菌(口腔常在菌)が存在していることが原因の一つと考えられています。口腔 常在菌は健康状態を支える役割もありますが、その一方で生態系のバランスが崩れるとむし歯や 歯周病の原因となるのです。
以前は、抜歯などの外科的処置を行った場合に顎骨が多数の常在菌に晒されるリスクが高くな り、ビスホスホネートなどの薬剤が原因となる顎骨壊死を発症しやすくなると考えられていました。 しかし、近年の研究では外科的処置を行わない場合でも顎骨壊死が起こるケースもあると明らか になっています。
したがって、ビスホスホネートやデノスマブを服用している方は、日頃からお口の中の環境を整えるために毎日の歯磨きを丁寧に行い、歯科医院で定期的なクリーニングなどのメンテナンスを受けることが大切です。