歯の豆知識Tooth Knowledge
2023.11.09意外と知らない? 亜鉛と味覚の関係
先日、初めて新型コロナウイルス感染症になりました。
去年娘が感染したときは、高熱があっ たものの「ママの料理の味は分かるよ」と食事も問題なく摂れていました。しかし、今回の私 は全く味がしません。何を食べても味がせず、きゅうりを塩で漬けたものを作って味見をして みても味が分からないので延々と塩を足すはめになり、それを食べた家族からは「しょっぱ い!」の大合唱でした...。私はそのしょっぱいきゅうりを食べても味がしないので満足感がな く、意識的に食べたり飲んだりしないとふらふらしてしまうような闘病生活を送りました。
そんな中、味覚障害のことが気になってスマホで調べてみると、いろいろなことが分かりまし た。コロナウイルスに感染して味が分からなくなるのには、そもそもその人が亜鉛不足である かどうか、ということも深く関係しているようなのです。
味覚は、舌にある「味蕾(みらい)」とよばれる細胞が味を感じ取り、神経を通して脳に伝達 することで認識するものです。味覚障害は、この経路のどこかに障害が発生することによって 起こります。コロナウイルスによって味覚障害になるのは、ウイルスが神経細胞にダメージを 与えるために起こっていると考えられています。
味蕾の味細胞は代謝を繰り返して新しい細胞に生まれ変わっていきますが、このときの細胞分 裂に必要な栄養素が亜鉛です。亜鉛が不足していると細胞の新陳代謝のスピードが落ち、味を 正確に感じることができなくなってしまいます。
亜鉛は人間の身体に必要なミネラルで、皮膚や骨、肝臓など全身に存在して、代謝に必要な酵 素のはたらきを助ける役割を担っています。免疫やホルモンとも深い関わりがあり、亜鉛が不 足すると味覚障害のほかにも嗅覚障害、口内炎、肌荒れなど様々な症状が現れることがありま す。
また、亜鉛が十分に足りていると風邪や感染症にかかりにくくなるとも言われています。亜鉛 は粘膜を保護するビタミン A を身体の中にとどめる効果があり、喉の痛みや鼻水、鼻詰まりな どの症状を緩和してくれます。病気を引き起こす細菌を攻撃する白血球にも亜鉛が含まれてい るので、傷や病気の早期回復にも亜鉛は、必要な栄養素なのです。
しかし、亜鉛は体内で作ることができないため、毎日の食事などを通して外部から摂取する必 要があります。
亜鉛が豊富に含まれている食品には、以下のようなものがあります。
・魚介類(牡蠣、帆立、うなぎなど)
・肉類(牛肩ロース、牛レバー、牛もも肉など)
・卵
・大豆製品
・ナッツ
亜鉛を含有する食品について、以下のサイトがわかりやすく掲載になってました!
https://medipalette.lotte.co.jp/bodycondition/229
2023.11.02低位舌という言葉を聞いた事がありますか?
通常、舌の先端は上顎の前歯の裏側に軽く触れているのが正しい状態です。
しかし、舌の筋力不足に より下顎の前歯の裏に舌が位置している状態を「低位舌」といいます。
舌の位置が低いということ は、単に舌の位置の問題だけではありません。
舌骨の位置そのものが低くなっているので、舌という 巨大な筋肉全体が喉元に沈下している状態になるのです。
低位舌の状態にあると、顎にたるみが生じて二重顎になったり、表情筋や唇の筋肉もたるむようになります。
また、舌骨が低位であることで舌根沈下をおこし、気道が狭くなります。
嚥下の際には咽頭 が持ち上がらず、気道が喉頭蓋で閉じなくなるためムセやすくなります。
さらに、舌そのものが持ち 上がりにくくなって正常な嚥下がしにくくなり、誤嚥性肺炎などのリスクも高くなります。
舌骨の位置は、赤ちゃんの時は下顎骨と同じ高さにありますが、年齢と共に徐々に下がると言われ ています。
これは飲み込む動作をするときに、喉頭を引っ張り上げる喉頭拳上筋群が加齢とともに衰えるからです。
喉頭の位置が下がるということは、食べ物を飲み込むときに誤嚥が起こりやすくなります。
さらに、低位舌が引き起こす可能性のある疾患の一つに、「睡眠時無呼吸症候群」が挙げられま す。
舌の位置が低いことにより気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
また、気道が狭ま ると空気の吸入量も減り、息苦しくなることから無意識のうちに口呼吸をするようになるのです。
睡眠時無呼吸症候群と聞くと、大人の病気と思われる方が多いかもしれませんが、この病気には子供 にも起こりうるものです。
発症率は 1~4%程度といわれていますが、この病気になっていることに気づいている人が非常に少ないのです。
睡眠時無呼吸症候群により十分な睡眠がとれていないと、学校 で授業中に眠くなってしまう、集中力が欠如するなどのほか、学習障害や成長障害に繋がってしまうこともあります。
アレルギー性鼻炎による鼻づまりなどが原因で口呼吸になっている場合は、鼻炎の 症状が和らげば自然と呼吸も改善されることがあります。
子供が低位舌の状態にあるかどうかを判断するのは、難しいこともあります。
子供のお口の成長をみ ている過程で何か気になる事があれば、いつでも相談に来て下さいね。
2023.10.26「口育(こういく)」で健康な人生を
皆さんは、「口育(こういく)」という言葉を聞いた事がありますか?
口育とは、文字どおり「お 口 を育てること」を意味します。
お口の機能である呼吸や嚥下の正常な発達を促して歯並びや姿勢を正し、自信の持てる笑顔を作ること。
本来持っている学習や運動に関する発達能力の正常な発達を促し、おじいちゃん、おばあちゃんになっても、食べる能力を維持し、自分の人生に誇りを持てるようにすること。
これらが「口育」になります。
近年注目されているキーワードに、「口腔機能発達不全症」というものがあります。
これは、生まれつきの病気がないにもかかわらず、食べる、話す、呼吸するなどの機能が十分に発達していない、もしくは正常な機能を得られていない状態をさします。
2018 年に、新たな病名として制定されたばか りなので、あまり聞きなれない方もいらっしゃるかもしれません。
口腔機能発達不全症の症状としては、以下のようなことが挙げられます。
・歯列不正
・不正な顎顔面の成長
・口呼吸 ・食機能の低下
(なかなか飲み込めない、片側でばかり噛むなど) ・閉鎖性呼吸障害 ・睡眠障害(鼻がつまっていないのにいびきをかくなど)
これらを予防するためには、新生児期の赤ちゃんの頃から呼吸、嚥下の正常な発達を促進することが 大切です。具体的には、
・口周りの筋肉を鍛えて口呼吸を予防・改善する ・よく噛んで食べる
・飲み込む力を鍛える
などのことが挙げられます。
舌を中心とした口腔周囲筋の機能的発達が不十分な場合、老年期には口腔機能が低下し、やがて自ら の力で食事をすることができなくなってしまいます。
口育は人生の「始まり」から「終わり」までを、人間らしく生きるための機能予防管理術なので す。
当院には、口育について十分な知識をもつ「口育士」に認定されている歯科医師・歯科医衛生士が 在籍しています。口育士とは、日本口育協会により認定される資格制度です。お口の機能の発達不 全を予防し、正しい呼吸、正しい嚥下の発達をサポートします。
ちょっと難しいお話でしたが、「口育」について知っていただけましたでしょうか。
赤ちゃんの時 からの口育についてもっと詳しく聞いてみたい方は、是非お気軽にご相談ください。
当院の口育士がお話しさせていただきます。