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2023.10.26「口腔機能発達不全症」

こんにちは!
松尾歯科の掛端です! 
今日は、「口腔機能発達不全症」についてお話ししていきます。 
「口腔機能発達不全症」とは、先天的な病気がない健康な子ども(15歳未満)において「食べる」「話す」「呼吸する」などの機能が十分に発達していない、もしくは正常に機能できていない状態を指す疾患です。平成30年に疾患名として設定されたもので、それ以降、全国の歯科医院でも子どものお口の健康を支援するための治療や訓練が活発に行われています。

「発達不全」と名はついていますが、全く機能していないという意味ではありません。
機能の獲得がやや遅れているという状態なので自覚症状がないケースも多くありますが、早期にこれらの症状に気がつき専門的な介入をすることができれば、今後の正常な発達を見込むことができます。
 
■口腔機能発達不全症の検査および診断
日本歯科医学会が作成したチェックリストをもとに、「食べる」「話す」それぞれの機能に該当する項目があるかどうかをヒアリングし、かみ合わせや呼吸の状態、歯並びやのどの形態、 口を閉じる力や舌の力の測定なども行います。

■それぞれの症状と治療方法について
口腔機能発達不全症の症状と、それに対する治療方法について簡単にご紹介します。

1) 歯の萌出遅延(歯がなかなか生えない )
一般的にいわれている歯が生える時期よりも、乳歯で6ヶ月以上、永久歯で1年以上遅れている場合は、口腔機能発達不全症の原因となる可能性が高くなります。すぐに歯が生えてこないからといって焦る必要はありませんが、一定期間様子を見ても生えてくる様子がない場合は歯科医院で相談しましょう。
 
2) 「食べる」機能の問題
食べる量や回数にばらつきがある、偏食、小食、食事に時間がかかる、などは口腔機能の発達に影響を与える可能性が高くなります。進行しているむし歯、お口の中が乾燥状態にあるなどの症状がある場合は、まずはこれらの治療を行ったうえで、飲み込む機能(嚥下機能)に問題がないかを見極めていきます。

3) 口呼吸(口唇閉鎖不全症)
人間は通常であれば鼻で呼吸をしますが、様々な原因により口を開けた状態で呼吸をしている「口呼吸」になることがあります。近年口呼吸が嚙み合わせや姿勢に様々な影響を及ぼすことが注目されていますが、口呼吸を続けていると歯並びが悪くなるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群の原因にも繋がります。口呼吸を改善する方法として、口輪筋のトレーニング(MFT)などが挙げられます。

4) 日常生活での癖 
指しゃぶり、爪を噛むといった癖は、口呼吸、歯並びの悪化、発音障害、低位舌、いびき、睡眠時無呼吸症候群の原因となります。指しゃぶりは3歳頃までは様子を見ても問題ありませんが、それ以降は自然に止められるように促します。
 
5) 発音(構音)障害
言葉を理解し、伝えたいこともはっきりしているにもかかわらず、音をうまく発音できない状態です。①音をつくりだす器官の形態に問題がある
②舌や口の動きに問題がある
③その他明らかな問題がない

上記の3つに分類されます。
ただし、小さなお子さまの場合は年齢に応じて成長段階にあるケースも多いので、必ずしも問題があるとは限りません。歯科医師・歯科衛生士のもとで発音訓練を行うほか、舌小帯(舌の裏のヒダ)が短い場合は切除することもあります。

6) いびき、睡眠時無呼吸症候群
鼻づまり、口呼吸、扁桃肥大などは、いびき、睡眠時無呼吸症候群の原因となります。
さらに、お子さまのいびき、睡眠時無呼吸症候群は歯並びに影響を与えることがあるため早めに治療することが必要です。鼻づまりが原因となっている場合は、それを根本的に改善できるように治療します。また、口周りの筋肉のトレーニング、橋正治療(床橋正)などの治療を行ないます。 
当院には、お口の機能の発達不全を予防し、正しい呼吸、正しい嚥下の発達をサポートする「口育士」に認定されている歯科医師・歯科医衛生士が在籍しています。
口育士とは、日本口育協会により認定される資格制度です。
お子さまのお口周りのことで気になることがございましたら、是非お気軽にご相談ください。
 

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