歯の豆知識Tooth Knowledge
2023.11.02低位舌という言葉を聞いた事がありますか?
通常、舌の先端は上顎の前歯の裏側に軽く触れているのが正しい状態です。
しかし、舌の筋力不足に より下顎の前歯の裏に舌が位置している状態を「低位舌」といいます。
舌の位置が低いということ は、単に舌の位置の問題だけではありません。
舌骨の位置そのものが低くなっているので、舌という 巨大な筋肉全体が喉元に沈下している状態になるのです。
低位舌の状態にあると、顎にたるみが生じて二重顎になったり、表情筋や唇の筋肉もたるむようになります。
また、舌骨が低位であることで舌根沈下をおこし、気道が狭くなります。
嚥下の際には咽頭 が持ち上がらず、気道が喉頭蓋で閉じなくなるためムセやすくなります。
さらに、舌そのものが持ち 上がりにくくなって正常な嚥下がしにくくなり、誤嚥性肺炎などのリスクも高くなります。
舌骨の位置は、赤ちゃんの時は下顎骨と同じ高さにありますが、年齢と共に徐々に下がると言われ ています。
これは飲み込む動作をするときに、喉頭を引っ張り上げる喉頭拳上筋群が加齢とともに衰えるからです。
喉頭の位置が下がるということは、食べ物を飲み込むときに誤嚥が起こりやすくなります。
さらに、低位舌が引き起こす可能性のある疾患の一つに、「睡眠時無呼吸症候群」が挙げられま す。
舌の位置が低いことにより気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。
また、気道が狭ま ると空気の吸入量も減り、息苦しくなることから無意識のうちに口呼吸をするようになるのです。
睡眠時無呼吸症候群と聞くと、大人の病気と思われる方が多いかもしれませんが、この病気には子供 にも起こりうるものです。
発症率は 1~4%程度といわれていますが、この病気になっていることに気づいている人が非常に少ないのです。
睡眠時無呼吸症候群により十分な睡眠がとれていないと、学校 で授業中に眠くなってしまう、集中力が欠如するなどのほか、学習障害や成長障害に繋がってしまうこともあります。
アレルギー性鼻炎による鼻づまりなどが原因で口呼吸になっている場合は、鼻炎の 症状が和らげば自然と呼吸も改善されることがあります。
子供が低位舌の状態にあるかどうかを判断するのは、難しいこともあります。
子供のお口の成長をみ ている過程で何か気になる事があれば、いつでも相談に来て下さいね。